大型犬を飼うなら知っておきたいお金と苦労の話

猫と違い、犬は犬種によってサイズが様々です。2kg程度の重さしかない超小型犬もいれば、80kgを超える超大型犬もいます。最近はSNSなどで有名なラブラドールやシベリアンハスキーの子も見かけますね。そんな魅力的な彼らを見て、大型犬との暮らしに憧れる人もいるでしょう(私もです)。

しかし、ちょっと待ってください。本当に大型犬、飼えますか? 大型犬との暮らしには、猫や小型犬を飼うよりも、気力も、体力も、そしてお金も必要です。憧れだけでは解決できないこれらのことについて、実体験や大型犬オーナーのみなさんから聞いた話をまとめました。

大型犬はとにかくお金がかかる

大型犬と暮らすうえで、まず覚悟しておくべきは「お金」です。「大きい」というだけで、小型犬よりもかなりの金額がかかります。

欠かせない食費

大型犬はその体を維持するために、小型犬と比べてかなりの量を食べます。例えばドッグフードについて、小型犬と比較してみましょう。ドッグフード各製品には「1日あたりの給与量目安」が記載されています。製品によって多少異なりますが、大きな差はありません。

トイプードル(体重3kgの子)とラブラドールレトリバー(体重30kgの子)で実際の量を見てみると、あるドッグフードの1日の与える量の目安は、トイプードルで60g・ラブラドールで350gです。かなりの差がありますね。1ヶ月あたりかかるフード購入費用を計算してみたら、トイプードルは約2,800円、ラブラドールは約9,000円となりました。大容量の袋の方が割安になるので単純に約6倍とはなりませんが、それでも6,000円以上の差となります(ドッグフードの種類によってはもっと差が開くこともあります)。これが1年、5年、10年となると……。

また、あるラブラドールの飼い主さんは、ドッグフードだけではとても足りないのでおやつにきゅうりやバナナをあげている、と言っていました。それぞれ3本くらいはペロッと平らげてしまうそうです。ドッグフード代だけでなく、おやつ代もかなりかかりますね。とはいえ、両手に乗るくらい小さかった子犬がごはんをモリモリ食べ、メキメキ成長していく様を見守るのは、なんとも言えない幸福感があります。気が付いたら、犬の顔が自分の顔より大きくなっていたりしますからね。「ここまで育て上げた」という強い実感は、大型犬ならではのものだと思います。(子犬の頃の写真を見ると尊すぎて胸が苦しくなります……)

何をするにも料金が高い

犬と暮らすうえで、ごはん以外にもいろんなお金がかかります。しかもそれらは、小型犬用と大型犬用で値段にかなりの差があるのです。
 

・リードやハーネス

例えば、散歩に必要なリードやハーネス。小型犬用は800円程度で売っているものもありますが、大型犬用はその値段では基本的に買えません。特にハーネスは大型犬用のガチなものになると、3,000円〜8,000円かかることもあります。
 

・おもちゃ

おもちゃも大きいサイズは高価です。可愛い小さい犬用ぬいぐるみ(500円程度)なども売っていますが、大型犬にかかればそんなものは瞬殺です。頑丈さを求める必要があります。ボールなども小さすぎるのは誤嚥の危険があるので、サイズに気をつけましょう。
 

・ホテル代

ペットホテル(ペットを預けるタイプ)は犬のサイズによって料金設定が変わります。例えば、1泊あたり小型犬は4,500円に対して大型犬は6,500円かかることがあります。また、ペットと一緒に泊まれる宿に宿泊する際の犬の料金も、小型犬と大型犬でだいたい1,000円〜2,000円の差があることが多いです。
 

・薬代

フィラリア症予防薬やノミダニ予防薬などの薬は、犬の体重によって値段が変わります。フィラリア予防薬は5kg未満なら700円程度から購入できるのに対し、20kg以上だと2,200円程度かかることがあります。これが数ヶ月分なので、結構な金額の差になってしまいます。

このように、体が大きいぶん何かとお金がかかります。しかし、維持コストがかかるその「大きさ」もまた、大型犬の魅力のひとつ。大きな体を預けて寄りかかりながらこっちをじっと見つめてくれる、そんな愛犬を撫でているひとときは、重みすら愛おしくて、なんとも言えない充足感があります。(ただし体は痺れる)

半端ない破壊活動による修理費

犬を飼うと家具をかじられたり壊されたり、ということがありがちですが、大型犬による破壊活動の被害は小型犬の非ではありません。

人から聞いた話だと、以下のことがあったようです。

  • 3人掛けの大きめのソファが丸ごとダメになった
  • ダイニングの椅子の脚がなくなった
  • ウッドデッキに穴が空いた
  • 網戸が突破されて枠ごと歪んだ

修理費を考えると恐ろしいですね。

思いがけない出費

大型犬ならではの思いがけない出費があります。それは、飼い主の怪我の治療費。例えば散歩中、いきなり走り出しても、小型犬ならリードを引けば簡単に止めることができます。しかし大型犬ではそうはいきません。何かを見つけて突然走り出した愛犬に引き摺られて段差から落ち、骨折した人もいます。また、テンションが上がった愛犬に飛びつかれた拍子に、頭突きを口元に喰らって、前歯が折れた人もいます。小型犬ならここまでの重傷にはなりません。

ただ、怪我をした人がその話を聞かせてくれるとき、みなさん何故か笑顔です。「こんな目に遭うなら大型犬なんて飼わなければよかった」なんて言う人は誰もいません。飼い主たちにそう言わしめる大型犬、いかに魅力的か伝わってきますね。

できればドッグトレーニングスクールへ

躾ができていない大型犬は、近所迷惑や危険に繋がります。自分できちんと躾ができない場合は、ドッグトレーニングのプロに任せるのがおすすめです。ドッグトレーニングスクールはいろんなタイプがありますが、がっつり訓練してくれるところなら、朝犬を預けて夕方迎えにいくというパターンが多いです。1ヶ月で数千円〜数万円とお金もそれなりにかかりますが、さまざまな事故を回避するためにも通っておいた方が安心です。

大型犬は落ち着けば本当に賢くて優しく、別種族なのに人間のように意思疎通ができる、最高に可愛らしいパートナーになってくれますよ。そのためにもぜひ、プロの助けを借りましょう。

大型犬ならではの苦労とは?

犬を飼うにはそもそもお金がかかるが大型犬ではより一層お金がかかる、ということについてここまで書いてきました。しかし、お金以外にも大型犬ならではの苦労があります。

大型犬は運動量も桁違い

食べる量だけでなく、運動量も大型犬は桁違いです。小型犬の散歩は1回15〜30分程度で大丈夫なことが多いですが、大型犬はそうはいきません。散歩に1時間行くことなんてザラです。人によっては2時間歩いたり、湖で1時間泳がせたり……。また、広めのドッグランには普段あまり見ないような大型犬もたくさんいます。飼い主さんに聞いたところ、散歩だけでは足りないので月に2〜3回連れてきているとのことでした。

運動が足りないと家で大暴れすることもあるそうなので、大型犬を飼うならドッグランや湖など、たっぷり遊べる場所が近くにあるとよいですね。なければ、長距離の散歩に連れていけるよう、飼い主の生活を犬にあわせる必要があります。なかなか大変ですが、飼い主にも「運動不足解消」というメリットがあります。自分一人だと三日坊主になってしまった1時間以上のウォーキングも、愛犬のためならきっと毎日続けられますよ。

大型犬は何かとサイズ制限に引っかかる

犬と一緒に住んだりおでかけしたりしやすくなってきましたが、大型犬にはまだまだ風当たりが強いです。何かと「小型犬のみ」といったサイズ制限に引っかかります。
 

・住む家

もし賃貸暮らしなら、大型犬を飼うのはかなり難しいです。というのも、「ペット可」の賃貸であっても「小型犬・中型犬のみ可」という条件であることが多いからです。大型犬を飼える賃貸物件はなかなかありません。持ち家であっても、ある程度の広さがないとキツいかもしれません。犬がひとりで安心して寝られるスペース(ケージやクレートなど)があった方がよく、大型犬用のそれらは地味に場所を取るからです。
 

・移動手段

新幹線には小型犬はキャリーに入れれば乗れますが、大型犬は不可です。そのため、大型犬を連れての長距離移動は、基本的に車が必要になります(ペットタクシーというサービスもありますが、地域が限られます)。

車はなるべく大きめな車種の方がよいです。旅行先で知り合った女性は、普段はスポーツカーに乗っているけれども愛犬(ゴールデンレトリバー)と旅行に行く時はレンタカーを借りると言っていました。軽自動車に乗っているけれども中を改造して後部座席を取り外し、犬がゆったり乗れるようにしている、という猛者もいます。犬が横になれるスペースが必要なので、コンパクトな車ではキツいでしょう。
 

・観光地

犬と入れる観光地も増えてきていますが、「抱っこして入館OK」や「ペットカートに乗せて入店OK」という制限があるところも多いです(特にアウトレットショッピングモール)。大型犬は抱っこもカートも無理なので、誰かひとりが犬と一緒に外で待つことになります。「ペット可」と聞いて一緒に観光にきたのに、大型犬は入れなかった……と悲しい思いをしないよう、事前の下調べは入念にしましょう。

まとめ

以上、大型犬を飼う場合に覚悟しておいた方がよいお金のことや、大型犬ならではの苦労を簡単にまとめました。ご覧のとおり、お財布も体力も削られます。

とはいえ、大型犬は落ち着けば大変賢く従順で、大人しい子が多いです。おまんじゅうのような大きなお手手のずっしり感、タフタフした大きな顎のもったり感、モフモフの大きな毛の塊に思いっきり抱きつける安心感、などなど……これらは大型犬でしか味わうことのできない、すばらしい体験です。大変とわかりつつも、大型犬を多頭飼いしているオーナーさんが多いことも、大型犬のとめどない魅力を表しているでしょう。

きちんと世話としつけをし、愛情(とお金)を注げば、間違いなくすばらしい家族になってくれるはずです。


プロフィール

犬飼つな
サルワカ「力尽きたときのための簡単レシピ」の中の人。webライター。レシピやグルメレポ記事、旅行・ペット関連記事などなど書きます。ムキムキの保護犬、忍者のような拾い猫・夫といっしょに名古屋で暮らしています。

 
ブログ:INUTUNA
Twitter:犬飼つな@力尽きレシピ